Production Notes Production Notes
プロダクションノート

  • 魅力いっぱいのキャラクターを初の映画化

    すべての始まりは、「たべっ子どうぶつ」のキャラクターのステッカーが貼られたギンビス社の営業車との出会いだった。街中でその車を見かけた須藤プロデューサーと小荒井プロデューサーは、改めてキャラクターに注目する。「アニメにしたら面白いんじゃないかな。それも3DCGで日本でも『トイ・ストーリー』を作れるはず」と閃いた須藤プロデューサーが、さっそくギンビス社に「たべっ子どうぶつのパッケージのキャラクターをアニメーション映画にするのはどうでしょうか?」とギンビス社HPのカスタマーセンターに問い合わせると、同社も「次の展開として映像化したいという想いがあった」と快諾、こうして企画が立ち上がる。それは2020年2月のことである。

    ギンビス社から映画化に当たって大切にしてほしいと言われたのは、「お菓子に夢を!」という企業理念だった。「お菓子に夢を与えられるような映画を作ってください」と頼まれた須藤プロデューサーは、「絶対に守りますとお答えしました。また、世代を超えて愛されているたべっ子どうぶつにならって、どの世代が見ても楽しめる映画を目指しました」と振り返る。

    ライオンくん
  • 想像もつかない企画に惹かれた監督

    「たべっ子どうぶつ」には、絵本や漫画など“原作”は存在しない。監督は0から作品世界を創り上げることができて、しかも3DCGに長けた映像作家にお願いしたいという製作陣の総意から、竹清仁にオファーされた。竹清監督は初めて企画について聞いた時の感想を、「一体どういう物語になるのだろうというのが率直な気持ちでした。逆に新しく作れるので腕の振るい甲斐もあり、ワクワク感もありました」と語る。「須藤さんからは『トイ・ストーリー』のような大人も子供も楽しめる普遍的な映画を目指していると聞きました。皆がたべっ子どうぶつに対して抱いているイメージを大事にしつつも、お客さんには想像もつかないような意外性を表現したいというのが大きな目標でした」

    ペガサスちゃん
  • 世界にその名を轟かせる制作スタジオ

    アニメーション制作は、マーザ・アニメーションプラネットに依頼された。須藤プロデューサーは、同社に惹かれた理由は「最高のアニメーションを子供たちに見せたい」という企業理念だと語る。まさに、たべっ子どうぶつと同じアイデンティティを持っていると感じ、ギンビス社から託された「お菓子に夢を!」という命題を叶えてくれる会社だと直感したという。

    一方、小荒井プロデューサーが、マーザ・アニメーションプラネットにお願いしたのは、一貫して「どうぶつたちをモフモフさせてください」だったという。たべっ子どうぶつたちの毛並みを、触ったら跳ね返ってくるようなモフッとした感じにしてほしい。どんな奇想天外な物語になっても、たべっ子どうぶつのかわいさは守り抜くという使命を果たすために、「ミーティングの度に毎回念を押していました」と振り返る。

    ゾウくん
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  • 0から生み出した王道にして奇想天外な脚本

    脚本は竹清監督からの熱い推薦で、池田テツヒロが手掛けた。竹清監督とプロデューサーが加わった脚本開発チームが最初から決めていたのは、あくまでどうぶつたちが“おかし”であること。竹清監督は、「どうぶつキャラのストーリーでは、たべっ子どうぶつの意味がない。彼らはおかしなんだということを、うまく必然性として盛り込むことに苦労しました」と語る。池田は「たべっ子どうぶつは、おかしの化身で、人間のよき友人であるというところから考えようというのが、二人の見解としてありました」と振り返る。

    さらに、竹清監督は「おかしのキャラクターが持っている人を笑顔にするという特徴を映画的に表現したかったので、エンターテイナーの代表であるアイドルグループの設定はピッタリですよね」と説明する。池田は「たべっ子どうぶつがスターになって、リーダーであるらいおんくんが少しテングになっている。そのせいで、仲間との関係もギクシャクし始めている。かわいいのにテングというギャップが楽しくて、そこから話が転がり始めました」と語る。

    「素晴らしきストーリーテラー」だと製作陣が称える池田は、次から次へと物語を生み出した。らいおんくんが少年とヨーロッパを旅するホノボノ系や近未来SFもあった。ディスカッションを重ねながら起承転結を練り上げていくと共に、世の中の人々が抱くたべっ子どうぶつへのイメージをいい意味で裏切るために、アイディア出しの会議が何度も開かれた。「僕は前後の文脈を無視して、これやったらおもしろくないですか? と感覚論で意見を言ったり、全然違う方向から話をして、よりアイディアが生まれやすいようにするのに努めました。たとえば、ギンビスのアスパラガスを武器にするとか。それを池田さんが、より面白くストーリーに組み込んでくださいました」と須藤プロデューサー。それに対して、「須藤さんには普通のアニメにしたくないという想いがあったと思います。須藤さんのやんちゃな発想は、着地点を探そうとして物語がこじんまりしそうになった時、再び大きくしてくれる原動力になりました」と池田。

    池田は『ミッドナイト・ラン』のバディものの要素を、らいおんくんとゴッチャンの関係性の参考にしたという。また、『ポリスアカデミー』の登場人物全員の個性がバラバラという設定にもインスパイアを受けたと語る。「正しいことや強いものだけがよしとされる世界には違和感があって、弱さや悩みを抱えた個性たっぷりのたべっ子どうぶつが、一つの価値観に凝り固まった社会を、ぶち壊してくれたらいいなという想いもこめました」

    敵キャラをわたあめにしたのは池田のアイディアだ。池田は「丸くてフワフワしているかわいらしい形のおかしが悪役というギャップと、シンプルなおかしがコンプレックスを抱えてひねくれているという設定が面白いと思いました」と説明する。また、オカシーズが現れる時、おかしを食べた人の感情が少し入るという裏設定があるのだが、悪いことを考えてわたあめを食べると、悪いゴットンが増えていくというのは、昨今のSNSでの誹謗中傷の連鎖の暗喩でもあるという。

    「たべっ子どうぶつのビスケットに書かれている英語名を、物語に盛り込むというミッションには苦心しました」と池田は振り返る。「結果、英語名が重要な展開の鍵となりますので、楽しみにしてください。難しいリクエストほど、いいアイディアに繋がるということが、本作でもたくさんありました」

    そうして、おかしが主人公という唯一無二の設定と、主人公が冒険に飛び込み成長していくという王道の展開が融合し、随所に予想もしないサプライズが爆発するという脚本が完成した。

  • 弱さを抱えた愛されるキャラクター作り

    続いて着手したのが、こちらも0からとなるキャラクター設定。主な登場人物の全員に共通しているのは、“弱い部分”があるということ。「それぞれ守ってあげたくなるような要素が入っていて、そこが愛される要因になるのではないかと思います。完璧ではないキャラクターが、皆で協力することで強い力を発揮する。それが、映画ならではの魅力ではないでしょうか」と小荒井プロデューサー。そこから、らいおんくんの“リーダーなのに頼りない”、きりんちゃんの“体が大きいのに怖がり”など、ギャップの面白さも深堀りしていった。

    さらに、映画オリジナルのキャラクターが開発された。最初は一般的などうぶつを考えていたが、たべっ子どうぶつがほぼ網羅しているため、残っているのはわかりづらい希少などうぶつになってしまう。そこで、子供たちにも人気を呼ぶに違いない神話の世界から“ペガサス”を選んだ。「らいおんくんのライバルになるので、出来るお姉さん的な優等生だけれど、彼女にも弱点があればいいねと話しました」と竹清監督。

    さるくん
  • 表情と色を追求したキャラクター・デザイン

    キャラクター・デザインは、「ジェンダーレスも含めて性別を決めて、表情を考えていきました。お客さんを驚かせたいし、ファンの方にはもっと好きになってもらいたい」という小荒井プロデューサーの要望を受けて、マーザ・アニメーションプラネットから、たべっ子どうぶつの360度の姿と、バラエティ豊かな表情集が提出された。たとえば、ねこちゃんの目は感情によって大きく変化する。きりんちゃんのプロポーションは、首と胴体を短くしてアニメとして愛らしいバランスを探った。こだわったのは、らいおんくんのネコ科特有のムニュッとしたマズル……などなど。

    ぺがさすちゃんのデザインについて、コンセプトアーティストで本作ではアートディレクターとして参加した亀井清明が説明する。「たべっ子どうぶつの中に馬がいるのですが、その馬をベースにさらにかわいくなるようにデザインしています。歌姫的な要素として、海外アーティストにインスパイアされたイメージを加えました」

    竹清監督が細心の注意を払ったのは、色のバランスだ。全員が原色に近いカラーなので、加減を間違うとチープに見えてしまう可能性がある。「色は非常にこだわって調整してもらいました。様々な色のバラバラな形のキャラクターたちが散らばっていても、ちゃんと一つの世界観に見えることを大事にしました」

    人間の中で重要なキャラクターであるペロは、たべっ子どうぶつに負けない「かわいさ」を追求した。リアルなかわいさではなく、世界的にも認められ多くのファンを獲得した日本の漫画やアニメーションのある種記号的なかわいさだ。その表現は、たべっ子どうぶつにも生かされていて、目の輝きを実際の光が反射して映り込んだ光ではなく、白い点を記号として置いている。

    ペロとマッカロン教授、そしておかし海賊のメンバーも、マーザ・アニメーションプラネットのクリエイターたちが自由に考えたキャラクターをエントリーし、“オーディション”が開かれた。おかし海賊には、とてもおかし好きには見えない強面の2人が選ばれた。アニメーターで本作ではCGスーパーバイザーとして参加した堺井洋介は、「非常に風通しのよい現場で、デザインの面白いところを、脚本に逆輸入していただいたりしました。たとえは、ペロのカエルの帽子の演出などがそうですね」と振り返る。

    かばちゃん
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  • 密度感と情報量を極めた美術デザイン

    美術に関しては、「たべっ子どうぶつのデザインがシンプルなので、背景は密度感をしっかりと出して情報量を高める」というのが、竹清監督からのオーダーだった。アートディレクターの亀井は「たべっ子どうぶつが、そこで生活しているというリアリティを出すことに細心の注意を払いながら描いていきました」と語る。

    オープニングのライブ会場について、亀井が説明する。「たべっ子どうぶつが大スターであるということを初めて披露するシーンなので、できるだけインパクトがあってゴージャスな感じになるようにしました」実在のアリーナ会場などを参考にしながらも、「肉球を大きくあしらったデザインなど、たべっ子どうぶつのオリジナリティを出しています」

    物語の主な舞台となるスイーツランドに関しては、竹清監督はフランスのモンサンミッシェルのような城下町的なイメージを持っていた。「初めはおかしでできた城というアイディアもありましたが、大人の目を意識するとバベルの塔のような物語性も捨てがたく、最終的には石造りのゴシック的なデザインに落ち着きました」と亀井。

    その他、全体的に細かな装飾に凝りに凝った。たとえば、プライベートジェット機内は、大スターのセレブ感を出しているトロフィーや絵などに“小ネタ”が仕込まれている。おかしバーはヨーロッパのパブに秘密基地のイメージを盛り込んだ。マッカロン教授の家は写真や小物で教授の人生を表現している。何度見ても発見や驚きがあるように、スクリーンの隅々にまで全力が注がれた。

    うさぎちゃん
  • キャラクターと親和性のある理想のキャスティング

    らいおんくん、ぞうくん、ぺがさすちゃんの3人のボイス・キャストは、キャラクターのイメージとの親和性が決め手だった。まずは、主役のらいおんくんは、「松田元太さんは、普段テレビで拝見していて、感情豊かな発言やナチュラルな感性が、らいおんくんの性格にぴったりだと思いました」と、小荒井プロデューサーは説明する。そして、らいおんくんの一番の理解者であるぞうくんは、優しいお父さん的存在で、らいおんくんとは正反対の凛々しいイメージから、水上恒司に依頼された。落ち着いた声の響きも魅力的だった。ぺがさすちゃんは、キャラクターのイメージ・設定から、髙石あかりの名前が各所から挙げられた。

    さるくんは“チャラ男”という設定なので、チャラ男のキャラクターをネタにしていた藤森慎吾に依頼したところ快諾された。声優界からは、ファンも驚く名立たるレジェンドたちが集結した。ペロ役だけはオーディションを行い、演出への理解度が突出して高く、竹清監督が「数年に一度出てくる天才子役」と保証する、8歳の大野りりあなが抜擢された。

    ねこちゃん
  • 「アフレコって、こんなに楽しくていいの?」

    アフレコについて竹清監督は、「子供はもちろん大人の心にも響くように、キャラクターの深い感情まで繊細に演じてほしいと考えていたのですが、その点はみなさん理解されていました。キャストの皆さんの中から湧き出たイメージを活かすのが一番だと思っていたので、自由に演じていただいた上で、もう少しこっちというように、音響監督の横田さんとチューニングしていったという感じです」と語る。音響監督の仕事は、どんな劇伴がほしいか音楽メニューを書いたり、効果音をつけてくれる効果、音の調整をしてくれるミキサーに方向性を提示するなど多岐にわたるが、アフレコにおけるキャストへの演出も重要な役割だ。

    松田元太について竹清監督は、「どんな感じになるか予想がつかなかったのですが、蓋を開けてみたらすごくよかった。らいおんくんは、実は難しいキャラクターなんです。ヘタレで嫉妬深くて、前半は何かというと拗ねてばかりいるので、嫌われてしまう可能性もある。ところが、そこに松田さんの人間性が加わることでとてもチャーミングなキャラクターになりました。僕たちが予想もしない言い回しをしてくれるのも面白かったですね。『アドリブでお願いします』とムチャぶりしたシーンがあるのですが、想像を遥かに超える擬音を入れてくれて。松田さんのおかげで、メチャクチャ愛らしいらいおんくんになりました。あまり皆が褒めるので、ご本人は逆に『本当に大丈夫ですか?』と不安になっていましたね(笑)」横田は松田について、「オープニングのライブシーンの第一声で、ファンに向けて『みんな~』と呼び掛けるのですが、それが本当にスターの声で、さすが現役アイドル!と思いました」と称える。

    水上恒司については、「脚本をかなり読み込んでいただいたことが、演技から伝わってきました。朴訥とした性格に、時折知性が光る感じが素晴らしくて、イケボに聞きほれました」と小荒井プロデューサー。横田も「キャラクターの分析が深くて、こちらの僅かな調整にもすぐに応えてくださいました」と語る。

    髙石あかりは、「声の出演は2作目ですが、1作目とは作品のトーンが大きく異なるぺがさすちゃんという役ですから、お芝居を少し探っているようでした。でも、途中で休憩を入れて『もう少しオーバーでもいいかもしれません。いつもより抑揚つけてみてください』と話したあとすぐに核心を掴まれて、その勘の良さに驚かされました」と竹清監督。

    マッカロン教授役の大ベテラン・大塚明夫が、「いただきます!」の台詞を大声で「ごちそうさま!」と叫んでスタジオ中が大爆笑に包まれたり、わにくん役の立木文彦が「どこかで聞いたことのある台詞だな」と言いながら、自身の超有名な当たり役のパロディを演じたり……「皆さん、本当に楽しそうでした」と製作陣。

    また、大塚明夫とゴッチャン役の関智一は同じ日の収録だったため、マッカロン教授とゴッチャンのシーンは、二人の掛け合いで録音した。「感情が入って、とてもよいシーンになりました」と横田。竹清監督は「子供の心で演じてくださいとお願いしたのですが、何度聞いてもグッとくる芝居に感動しました」と振り返る。

    きりんちゃん
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  • CG制作の最難関ミッション──歌って踊る群衆とモフモフ

    CG制作において、マーザ・アニメーションプラネットの特徴は、「分業制という点です。スペシャリストが専門性を生かして作ったものを、次に渡していくというスタイルです」と堺井が説明する。海外の制作会社に多く、国内ではあまり見られないスタイルだ。

    基本的な工程としては、アートワークを描いてOKになったらモデリング、ルックデヴで見た目を決定して他のキャラクターにうつし、CGにおとしていく。その後、アニメーターが動かせる仕組みを作り、各チームが作ったモデルをCGの空間上で動かし、監督が描いたコンテに合わせてどう表現するか、エフェクトが入り、カメラが動くことを計算して作っていく。

    本作では、その基本工程の他に、初挑戦した技術がある。佐藤が説明する。「今回、オープニングのライブシーンで、群衆を初めて手掛けました。最初は動いていればよいということだったのですが、最終的にはやはり音楽のテンポに合わせたいということになりました。今までは多くても30体ぐらいだったのが、今回は数千体まで作り、キャパ数万規模に感じるようにしています」

    また、リアルなCGを追求してきた同社にとって、今回は全く異なる方向性だったと亀井は語る。「3Dを追求すると生々しくなってかわいくなくなる。かといって、2Dだとモフモフ感がなくなる。2Dと3Dのいいとこ取りを模索しました」

    モフモフ感に関しては、全身に毛を生やすと変なリアリティが出て、やはりかわいくないので、輪郭周りだけに毛を生やしてムラを作り、ソフトな感触を出している。「3Dだとどうしても硬くなってしまうので、すべてにおいて“触りたくなる”柔らかさを意識しました」

    わにくん
  • 映画音楽の枠を軽々と飛び越えた劇伴・劇中歌

    須藤プロデューサーは、自身の企画・プロデュース作「ポプテピピック」の音楽を担当した吟に、本作の劇伴と劇中歌を依頼した。須藤プロデューサーの全体的なイメージは、「ノスタルジックな感じもありつつファンタジーなディズニーのような楽曲」だった。一方、竹清監督からのオーダーは、「例えばバンドサウンドやテクノミュージックが混在する、アメリカ映画的な要素がほしい。その上で、観客がアトラクションに乗っているような、楽しめる感覚の音楽にしたい」という難易度の高いものだった。

    二人のコンセプトを受けて劇伴を作曲するにあたって、吟は王道であるオーケストラの演奏と、自分らしい4つ打ちの融合を考えたと語る。「オーケストラと現代音楽の絶妙なバランスに苦労しました。技術的なことで言うと、広い場所で録ったオーケストラとシンセサイザーとのバランス感が難しかった」

    また、竹清監督の“アトラクション”のイメージを叶えるために、バラエティに富んだ音も加えた。たとえば、マッカロン教授が街角に登場するシーンは、マカロニ・ウエスタンの映画音楽を意識し、たまたま友人が持っていたケーナを演奏している。わにくんがバイクにまたがるシーンはハードロック、おかし海賊のバックにはテクノが流れる。音楽のジャンルは多種多様だがピタッとハマるのは、「シーンの風景を見て決めているからだと思います」と吟。

    劇中歌は、オープニングのライブの歌、ぺがさすちゃんの歌、兵士たちと「かわいさ」で戦う歌の3曲を手掛けた。オープニングは海外のEDMのサウンドを基本とし、みんなが想像している可愛いたべっ子どうぶつとのギャップを出したくてボコーダーをかけたり監督と一緒に試行錯誤を重ねてさらに、壮大さも出すためにオーケストラを加えた。

    ぺがさすちゃんの歌の制作過程について、吟がこう説明する。「最初にフックになるメロディが浮かび、そこから仕上げていきました。そのメロディを皆が『独特だね』と好きになってくださったので、劇伴にもモチーフとして使っています。夜に囚われの身で歌っているシーンなので、寂しげな雰囲気もほしいということになり、ファルセットできれいに歌う曲にしました。盛り上がり過ぎない、ローファイプラスオーケストラですね。ドラムもローファイな音色にしているので、そこも含めて新しい挑戦だったのかなと思います」

    実は戦いのシーンには、歌は入らない予定だった。キュートなバトルを見て閃いたという吟は、「歌詞がヤバいです」と笑う。須藤プロデューサーは「ポジティブになれる歌です。最高です」と絶賛、脚本の池田も「大好きです」と口を揃える、おかしのお祭りのような歌が誕生した。

    ひよこちゃん
  • おかしと共に愛され続ける映画に

    完成した作品について、小荒井プロデューサーは「ファンの方の予想を超える『かわいい』が表現できたと思いますので、安心して見てください。一方で、ストーリーはたべっ子どうぶつのイメージを覆していますが、それも笑って泣いて楽しんでいただけると思います」と胸を張る。

    須藤プロデューサーは、「まずは、オープニングに期待していただきたい。スーパーアイドル『たべっ子どうぶつ』のライブステージで始まるのですが、歌もダンスも映像も、驚くほどのクオリティです!そして、劇伴音楽・劇場での音の迫力にも是非注目して下さい。」と熱く語る。

    最後に竹清監督が、こう締めくくる。「皆さん、どんなストーリーか全く想像がつかないと思いますが、そのまっさらな気持ちで来ていただくのが、一番楽しめると思います。最終的にはどのキャラクターも好きになってもらえるとうれしいですね。おかしのたべっ子どうぶつは三世代にわたって愛されていますが、これからもずっと愛されていくと思います。そんなおかしと共に、この映画もずっと見続けてもらえることを願っています」

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